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ちきんこんそめ

TEAM NACS 『WAR~戦い続けた兵たちの誇り』 ビデオ感想

TEAM NACS
『WAR~戦い続けた兵たちの誇り』
脚本・演出:森崎博之 

映像で見ました!
NACS熱はまだまだ止まらねぇよ!
好きになったらどこまででも行くぜ!

2002年に公演された『WAR~戦い続けた兵たちの誇り』です!
テーマは「戦争」
NACSの5人に客演を含めた総勢20人の男所帯。
テーマが戦争で、役者が全員男だなんて

そんなん
もう、めちゃくちゃ


熱い!!!


物語の展開も、役者のテンションも、全てが熱い。
しかも10年以上前の作品なもんでみんな若い!
パワー・テンション・勢い、全てのエネルギーがもう、すっごいよ!


あらすじ

世界各国から集められた兵士達からなる
無国籍軍『NSF(Never Stateless Force)』。
戦争を永遠になくすための戦争を仕掛けるべく、
無国籍軍は作戦開始のその日までひた隠しにされた存在。
彼等は誇りと志を胸に侵略を開始する。
その標的は―――日本。



この戦いが終わったら

桜の見えるあの丘で飲み交わそう!



セットは一切使わずに全てが役者の動きで演じられている。
そして交差する多くの照明、迫力ある音楽。
殺風景な舞台がド派手な視覚効果を持って舞台を彩ります。

作・演出の森崎さんは、もう、ほんとすごいな!

これを頭の中で創って、そして現実に作ったんだもんな!


・大泉洋
ホーク中尉が死ぬほど格好いい!
気質の荒いエースパイロット。
だけど仲間思いで情に厚い男。
ホークが敵と戦う空中戦で流れる音楽がすごく好き。
調べてみたらあるプロレスラーの入場曲でCDとかはないようです。
この作品は色々なアーティストの曲が使われていて
またそれがこの作品のために作られたかのように
ぴたりとマッチングするのでそこに森崎さんの
センスの良さを感じずにはいられない。

後半の空中戦は・・・泣いたなぁ。
出撃する前に嫁さんの話しちゃダメだよ・・・。
そんなん死亡フラグだよ・・・。
勝ち目のない戦闘でも仲間を見捨てずに
突っ込んで行ったホークは本当に馬鹿で本当に格好いい。

大泉さんは潜水艦の艦長役もされていましたが
後半、敵に追い詰められたときの
「バリアーだ!」「ワープだ!」「波動砲だ!」
「おのれぇ、デスラー総統!」には笑った。
艦長、落ち着け(笑)

しかし大泉さんが若い、そして超細い。
調べたらこの公演時、戸次さんとダイエット対決をしてたらしい。
お二人ともがりがりに痩せてしまって怒られたとか(笑)


・音尾琢真
ロイ隊長が正直一番好きだった。
とにかく声が素晴らしくいい。
始終テンションが高く、聞き取りにくい台詞が多い中、
音尾さんの声は本当に通っていて聞きやすい。
人格者の隊長ですが、実はこの人は
軍人でありながら敵を殺したことがない。
昔、敵を殺せずに味方を死なせた過去を持っています。
そのことがトラウマになっていて
ロイの噂話をしている部下に過敏に反応して
銃を向けてしまうんだけど
実は隊長が「離れ目の魚顔」の噂だったという(笑)
音尾さん、このときからすでに「魚顔」ネタだったのか(笑)

そんな人を撃てないロイが裏切り者を撃つシーンがよかった。
だからこそ、その後に重傷を負った部下に止めをさすところが辛かった。
そんなことのためにトリガーを引けるようになったんじゃないのにね。

ロイの隊はみんないい人だったなぁ。
みんな死んじゃったけど、ていうか、ハリス以外全滅なんだけど。
もずくがもしも入隊するならロイの隊がいいです。


・森崎博之
この人の頭の中をいっぺん割って覗いてみたいよ。
あの脚本と、照明と音響のイメージが
全てあの大きな頭には詰まってるというのか(笑)
やっぱり演出というだけって森崎さん、
中盤まであまり出番がありません。
が、リチャード総帥の登場シーンのド派手なこと(笑)
あの登場の仕方はめちゃくちゃ気持ちいいだろうね。

最後の戦いに出向く前の「誇りとはなんだ」と
兵士たちに問いかけるシーンは泣いたなぁ・・・。
森崎さんは本当に、こう、リーダーなんだな、と思った。
みんなを導いたり、励ましたりするのはやっぱりこの人だ。


・佐藤(戸次)重幸
5役やって3役が死んでる!
中でもホーク中尉の部下のマイクがすごく好き。
言葉が話せないけど優秀で優しい人。
後半の空中戦で、仲間に無理やり脱出させられるんだけど
そのときに必死に首を横に振っていたのが本当に切なかった。
でもマイクは捕虜になって拷問を受けて死んでしまいます。
言葉が出せないマイクと言葉が伝わらないハイドが
意思疎通をするあの最後のシーンはすごく好きだった。

ここの、捕らわれたマイクを救出するときの
ライトだけのダンスシーンが神がかっていた。
キャストが懐中電灯だけを持って、舞台は暗転。
そのライトの光だけでダンスをするのです。
この演出はすごい衝撃を受けたなぁ。
やっぱり森崎さんは天才じゃないか。

そして沖縄基地から来たアメリカ兵のハリス。
この戦争の唯一の生き残り。
物語最初の

「ビールを、20杯」

「約束なんです。死んでいった仲間たちと」

のハリスの言葉と、物語のラストシーンは繋がり、
そこには死んでいった仲間たちがずらりと並ぶ。
満開の桜の木の下で全員で杯を掲げるみんなに感動。
空襲を受けてすでに桜は枯れているけど、
戦いに敗れて仲間はもう皆死んでしまったけど、
だからこそあのシーンはたまらなく美しかったなぁ。
約束を守ってくれてありがとうハリス。
ああ、もうほんと泣けるよこれ。


・安田顕
無口で陰気な主人公、ハイド。
世界中から集められたNSFの中で唯一の日本人。
英語が話せなくて基地では孤立しています。
「何のために生きるのか」
「何のために戦うのか」
この物語のテーマをもっとも顕著に体現した人物。
ストイックで真面目で、変態じゃない安田さんが素敵です。
個人的には変態な安田さんを期待していたのですがね(笑)

もうね、日本の兵器、桜花(有人爆弾)に乗って
敵に飛び込んで行くときの安田さんの演技が凄かった。
ここで「俺の本当の名前はヒデだ」とハリスに語り、
自分の行き様を語り、布袋寅泰の「ロケットダイヴ」を
バックミュージックに死んでいくヒデ。

ここのこの演出はすごいよな。

上記でも書いたけど
既存の曲なのにまるでこのための曲としか思えない。
歌詞とハイドの生き様が重なって、
最後、照明と溶けるように消えていく。
この消えるときの安田さんの表情がもう、切ないったらなかった。


日本人が平和とか戦争に対して
鈍くなっていることの皮肉も加えながら
男たちの生き様にひたすら熱くさせられるいいお芝居でした。
世間ではあまり評価がよくないようですが
もずくはこの勢いのある熱い芝居が好きですよ。
ていうか、舞台を映像を見て批評をするなんざ
本当のところかなり失礼だなぁとも思うので
もずくがこの作品を生で見ていたら
きっと感想も感動も違っていたかもしれない。
でもやっぱり森崎さんの書くお芝居は好きだなぁ。


安田さんのハイド、「ヒデ」に敬礼。


最後の「愛を込めてアディオス・・・」の余韻がマジでやばかった。
あそこでの安田さん、マジでやばかった。
この作品で泣いた人は分かってくれるだろうか・・・。
by hiziki921 | 2012-06-10 05:02 | 芝居の感想文
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福岡在住管理人もずくの芝居に関する一人言(ネタバレ)と日々の呟きです。

by hiziki921
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